銀白虎







「今日はいつもより遅いですね?」


「あ、はい………遅くなってごめんなさい」


「気にしないでください。ただ、心配だっただけですから。何かあったんですか?」



あたしが答えやすいように優しい声色で柔らかく聞いてきてくれる、遠山さん。



やっぱり素敵だ。





「なにもないです。心配かけてすみません…」


「そうですか。なにもなかったのなら良かったです」




また素敵な笑みを向けてくれる。


それにはい、と返事をしてから、車のドアを開けて車に乗り込む。すると虎丸ちゃんもぴょんっと見事なジャンプをして、膝の上に乗ってきた。





「ここ、ちょっと遠かったですよね?疲れてないですか?」



多分、もう生徒の数が少ないとはいえ、学校の近くだと誰がみているかわからないから虎丸ちゃんに案内をさせて、離れたとこに停まっていたんだろう。




だけど、不思議なのはどうしていつもの“裏門”じゃなかったのか。


別に裏門でもよかったと思うんだけど……なにか、理由があるのだろうか?












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