銀白虎
「はい、大丈夫です」
答えながら、ゆっくりと車の中から“ここ”の周りを見渡してみる。
一般家庭の家よりも広くて大きな庭。だけど、“それ”は普通だ。
でも、“ここ”はなんだか違和感があって……。
――――この家は洋風な作りなのに、庭に池があるからだと気づいた。
「迷わなかったか?」
右側からした声に視線をやれば、…………蓮見くんがいて。
ちょっと考えれば、蓮見くんがいることなんてすぐに分かるのに、
何故だか車に乗っているとは思ってなくて、びっくりした。
「う、うん…。虎丸ちゃんがいたから」
だから思わずどもってしまった。
でも蓮見くんは、聞いてきたのにそうかとだけいうと虎丸ちゃんを見て………あたしの膝の上で丸まっていた虎丸ちゃんがてとてと、蓮見くんの方へ歩いて行く。
そして蓮見くんの制服に、手をかりかりとやって、まるでちゃんと出来たよ!と報告してるみたいだ。