銀白虎
ここに着くまでは、怒っているだろうと思ってた。それが当然だと思う。
だけど、実際の蓮見くんを見てみると、無表情でいつもと変わらず特に、といった感じだ。
結構待たせたはずなのに。
絶対、開口一番怒られると思ったんだけど………
「じゃあ、道はもう覚えたな?」
……………やっぱりそんな気配はなくて。
「え?…あ、うん。だいたいは」
前まで好きだったのは、目的もなくただ歩くことだった。
だからかどうかわからないけど、方向音痴ではないし、道筋は結構すぐ覚えるほうだ。
「明日から、ここで待たせるから」
蓮見くんの口調は、どこまでも淡々で。
いきなりなことなのに、驚いてる暇もない。
どうして?なんて、聞く隙もない。