銀白虎
「…わかった」
………どうやら明日から裏門から、“ここ”に変わるらしい。
ここは、誰の家なのか。
どうして、池なんてあるのか。
疑問は浮かぶけど、言葉にはできず。
―――ただ、溜まっていく。
ぽんっ、と。膝に重みが戻ってきて。
見れば、虎丸ちゃんがまた、ちょこんと座っている。―――――そして、じっと目があって………。
ぺろっと、頬を舐められた。
それから、わんっ!と一度吠えた。
あたしは、クラさんみたいに犬語がわかる訳じゃないけど………なんとなく。
…………大丈夫、と言われた気がした。
「…ありがとう。」
そう言えば、
虎丸ちゃんはわんっ!と嬉しそうにもう一度吠えた。