銀白虎
理解できない奴になしなめるみたいな馬鹿にした顔…。
背筋がゾクッとした。
「きゃっ!」
距離をとっていたはずなのに、簡単に捕られる腕。
「ここじゃ俺に刃向かうと、あんた大変だぜ?」
なにかをわかって、楽しむような口調。
…パッとあたしの手を離すと言った。
「言っちゃいけないのは、昨日お前が見た俺に関することすべてだ」
冷たい声。
背筋が凍るような…。
ドアへ向かって歩いていく、蓮見くん。
あたしはまだその場から、動けなかった。
「…あぁ、それから」
こっちを向いた気配がした。
「“この”俺もな。」
バンッ!
屋上のドアが閉まる音がした…。