銀白虎
だけど、一体要くんが蓮見くんの家のことをどこまで知っているのか。
竜くんはどこまで話しているのか。
それがわからないだけに、簡単に答えることはできなくて。
曖昧に微笑んで、苦笑いを作っていれば。
「若。」
竜くんの素っ気ない声が飛んでくる。
「……ああ、あの“ワカ”ね」
簡単な単語だったのに、要くんにはわかったらしい。
もしかしたら、要くんはある程度竜くんの住む家について、知っているのかもしれない。
「そっかー。それにしても、ずるいなぁ竜。俺も飛鳥さんとデートしたいのにー」
ぷくっと頬を膨らまして拗ねるのが、こんなに似合う男の子っているんだろうか?
「別に好きでしてるわけじゃねぇよ!それに、デートなんかじゃねぇっ!」
苛々とした声をあげて否定する竜くん。それに要くんは、にやりと一瞬したり顔になり。
「そうなの?じゃあ俺もお邪魔しよっかな~。ちょうど、用事もなくなったとこだったし」
………要くんって、やっぱり神崎くんとは正反対だ、と思った。