銀白虎






実はあの夕飯の日から、毎週金曜日はあたしが夕飯を作ることになった。

金曜日というのは、学生のあたしが大変にならないように次の日が休みという皆の配慮だ。


…別に大丈夫なのに。


これを頼まれたときも、凄く申し訳なさそうに言われたし。気を遣われるのは、なんとも心苦しい。

むしろもっと役に立ちたいのに、そんな思いを抱えながら。




それから1ヶ月ほど、夕飯担当をしてきたが。


言わずもがな、竜くんは毎週金曜日の夕飯だけは、顔を出さない。



そのため、夕飯後におにぎりを置いておくというのも、日課になっていた。






………まあ、あえなくここ4回とも手付かずに終わっているが。






「…おい、ブス。お前まで笑うんじゃねぇ!」


恥ずかしがっている竜くんにバレないように、くすくす笑っていれば………気付かれてしまったようだ。




「ご、ごめん…つい」



「おい、竜!飛鳥さんはブスじゃねぇよ!」


「は!?こいつはブスだ!超ブスだっ!」





それから、ブスじゃない、ブスだの言い合いが続いて………。





「ぷっ!あははっ!」



………思わず、耐えられなくなって笑ってしまった。





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