銀白虎
「ねぇ、飛鳥さん………若って、にーさんと同じクラスの人なんですか?」
さっきの会話、聞こえてたんだ。
そして知らなかったんだ、要くんは。
“ワカ”は知っていたけど、ワカが“蓮見くん”だと。
そこまでは知らなかったんだ。
嫌な、予感はやっぱり当たった。
そして探るような瞳を向けてくる要くんに、言わなきゃ、と思った。
「ねぇ要くん。神崎くんにこの事は……」
だって彼は、“そーゆー人”だから。
あたしの嫌いな、人間で。
たとえ彼がどんな人だろうとも、世間からは白い目を向けられてしまう、立場。
それは仕方なくて…。
だから彼は、“王子様”をやっていているわけで。
もし、神崎くんに知られてしまったら、学校中の皆にこのことがバレたら、
彼は、どうなるのだろう?
きっと、大変なことになる。
あたしのせいで………。
彼が傷付くのは、嫌だと思った。