銀白虎
ーーーどうしてか、あの時。気持ちを言葉にしたとき。
心が少しだけ、スゥーっと楽になった。
もしかしたらあたしは………誰かに、聞いて欲しかったのかもしれない。
いつか、ここを出ていって。
彼から、離れても。
彼を好きになったことを、誰かに覚えていて欲しかったのかもしれない。
"卑しい女だな"
ははっ、竜くんの、言う通りだ…。
気持ちを、伝える気もないくせに。
どんな形でも、どんなに小さな痕跡でもいいから。
この気持ちが、芽生えたことを無駄にしたくなかった、なんて。
……………ズルすぎる。
ペロッ、と。
温かい感触がして、顔をあげれば。
黒いまん丸のお目目と、目があったーーーーー虎丸ちゃんだ。