銀白虎




あとで教えてね。って、

席に戻って行った亜美。



ヤバイ。


ちゃんとした言い訳を

考えておかないと…。








はあー…勝手に溜め息が出た。





「…なんか大変そうだな、」



さっきまで俯していた神崎くんが話し掛けてきた。



「あ…うん、ちょっとね」



本当はちょっと

どころじゃないけど。


だいたい、

なんであたしは今…


こんなことになってるんだろう。



運が悪かった…。

そう思うしかないよ。




「なんかあった時はいつでも頼れよ?」



もう一度溜め息をついたあたしに神崎くんがそう言った。


なんて優しいんだろう…


顔を上げると、神崎くんのはにかむ笑顔があった。




………。


うん。



その笑顔…癒される。


なんかすっごく心に染みるよ。

ほら、あたし涙ぐんできたし。








正真正銘の本当の王子様は、絶対神崎くんだよ……。




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