銀白虎
「あ、要くんってこないだ文化祭に来てた可愛い子?!」
さっきまで大人しくして居た亜美も、思い出したように会話に入ってくる。
「あいつは全然かわいくねぇ!!あいつはそんな可愛いもんじゃねぇ!!」
必死で叫ぶ神崎くん。
…やっぱりここの兄弟は、関係性が逆転しているような気がしてならない。
まあでも、神崎くんが言ってることもわからなくないなぁ。
なんていうだろう、小悪魔って感じかな。
「えー、そんなわけないじゃーん!それより紹介してよー!あんな弟欲しいと思ってたのよね!」
さすが亜美さん。イケメンには目がないらしい。………なのに神崎くんの扱いだけは、いつも酷いけど。
彼女なりの基準があるのだろう、ということにしておこう。
不意に、視線を感じて。
振り返ればーーーーやはり、目が合った。
………学校で目が合うなんて、珍しい。
なんて考えていれば、ゆっくりと逸らされる。
…?なんだったんだろう。
ーーーーー王子様は、気まぐれだ。