銀白虎








ガチャン、扉を閉める音。


…そうか。担任が呼んでいるというのは、全部嘘だったのか。


どおりで、おかしいわけだ。


気づくのが遅すぎる自分に呆れる。
ヒントは、いくつもあったはずなのに。



足音をたて、コツコツコツ。

ゆっくりと、近づいてくる。




…私の今の状況も、彼女がやったのだろうか。



目の前まで来ると、その綺麗な顔で妖艶に微笑んだ。




ーーーーーそして、


「単刀直入に言うわ。王子に関わらないでくれないかしら?」



冷たい声が、響いた。




正直、ここまでするなんて思わなかった。

だからだろうか。

喉でつっかえたように、言葉が出てこない………。








『あの人有名だぞ?なんでもあの人にターゲットにされた人はみんな居なくなるとかならないとか…』



……ふと、蘇る。

前に神崎くんがこの人から庇ってくれたとき、言っていた言葉…。






今更になって思い出して、


あの言葉は、あながち間違えじゃなかった、ということだ。






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