銀白虎






「嘘ばかりついて、ずるい女ね」


美和先輩の、冷たく、鋭い声が聞こえた。


心臓が、ドクドクと、嫌な音を立てる。


ーーーーー聞きたくないと思った。


いやだ、

いやだっ、

お願い、

言わないで…………


「あなた、釣り合うとでも思ってるの?」


「王子が優しいからって勘違いしてるんじゃない?彼は誰にでも優しいんだから」




…………そうかもしれない。

たしかに、そうかもしれない。



最初は、本当に意地悪で最低で………優しさなんて、微塵も感じなかった。いつも、彼の"嘘臭い演技"に、苛立ちさえおぼえていた。



だけど、彼は助けてくれた。
こんなただのクラスメートでしかなかったあたしを、見捨てないでくれた。
そして、暖かさをくれた。


いつもさりげなすぎて、分かりづらいくらいに不器用で、とてつもなくーーーー優しくて。


だから、いつもそれに甘えてしまって………






ーーーーー時々、苦しくなるんだ。



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