銀白虎
貸しひとつ
嫌な、声がした……。
……どーしてあなたが来るんですか?
「蓮見くん!
…副委員って?」
部長さんが、問題の当事者である彼に聞いた。
「今度文化祭があるじゃないですか…俺、文化祭委員に推薦してもらったんですけど…やっぱり転校してきたばっかりなんで、いろいろわからないこともあるので、結城さんに補佐をお願いしたんです」
なにそれ!
知らないし!
というか…、
にっこり笑う、爽やかな笑顔…。
あたしもついこの間までは、同じように騙されていた。
これが本当の“笑顔”だって。
今じゃ、嘘くさく見えて仕方ない。
「そうだったの…。
でもどうして彼女を?」
「彼女は…成績も優秀ですし、頼りになると思ったんですよ」
「…まあ、そうなの…」
「はい。でもまだ仮で、彼女には“考えておいて”と言っただけなので、変に広まると結城さんがもし断りたかったら、断りにくいと思ったので、秘密にしておいてもらったんです」