銀白虎
「さっき、あいつと何話してたんだ?」
静かな車内。蓮見くんの落ち着いたその声は、思ったより響く。
さっきのやりとりを思い出し、なんて答えようかと悩み、とりあえず誤魔化すように笑う。
ーーーーポケットの中にそっと手を入れ、最後に渡されたお店のショップカードに触れた。
『何か困ったことがあったら、何時でも頼って』
……まるで近い将来に、そんなことが訪れるような口ぶりで、そう言った彼女。
裏面には、玲子さんのプライベート用であろう携帯の番号が、手書きで書いてあった。
「また遊びに来てねって言ってたよ」
ーーーーー気づいたら、あんなに降っていた雨は止んでいた。