銀白虎
「ーーーえ?」
心の中でしゃべっていた私に届いた声に、思わず聞き返した。
すると、蓮見くんはもう一度、
「あいつ、どうしてほしい?」
冷たい声でそう聞いてきた。
「どう、って…?」
あいつというのはきっと、美和先輩のことだと、なんとなく察した。
けれど私には、やはり蓮見くんの問いかけの意味がわからなくて、もう一度、聞き返してしまった。
頭での処理が追いつかなくて。
「お前が望むなら、学校から"消す"ことも出来る」
そう返してきた蓮見くんを瞳を見つめれば、それが本気で言っていることなのだと、すぐにわかった。
身体が、少し震えた。
そして、それが本当にできてしまう彼に、何故か胸が苦しくなった。
まだ小刻みに震えている自分を隠すように、ゆっくりと……首を横に振った。
「………そんなこと、望んでない」
そう言うと、蓮見くんは何がおかしいのか、ふっと嘲笑うように口角を上げる。
「………そう、言うと思った。本当に、お前は生温いな」
蓮見くんは、呆れているのかもしれない。あたしのことを、ただの偽善者だと。