銀白虎
顔の造形もそうだけれど、なにより……銀髪…。
地毛なんじゃないだろうか、というくらい生え際に、境目は見えない。
今は、お風呂上がりで水気を吸って、半乾きのままなのか、所々寝ている髪がいて。
なんだかそれが、彼を頼りなくみせて……
「だから、蓮見くんのせいじゃ………」
ーーーーーあ、と思った時には、熱い腕の体温を感じていた。
その銀の髪は、気づけばすぐ目の前にあって………。
心地よい暖かさと心臓の音に、包まれていた。
こんなにも、自分の足りない何かが埋まっていくような感じは……何なんだろうか。
まるであたしは、初めからそれを望んでいたかのようだ、と思った。そして、気づけば目を閉じていた。
冷たそうな彼の体温は、驚くほど熱くて。この腕の中が、自分だけのものならいいのに……。このまま時が止まってしまえばいいのに、なんて願ってしまいそうだった。
そんな私の思考を割るように、
「……暴力でもなんでもいいから。どんなことをしても、守りたいと思うときもある」
それは、注意して聞かないと聞き漏らしてしまいそうな、小さな声だった。