銀白虎
携帯を慌てて確認すると、あと3分の猶予しか残されていない。
でも、今から走れば、間に合う時間ではある。
「ご、ごめん、神崎くん!ちょっと急いでて……じゃあ、また明日ね!!」
挨拶もそこそこに教室から走りだそうと、扉に手をかけた。
その瞬間。
「ゆうき!」と、呼ばれたので、思わず振り返った。
それが、間違いだったのかもしれない。
「ーーーー昨日、社会科教室にいなかった?」
その瞬間、ピタリと、前へと踏み出していた足は止まり。
神崎くんの声が、こだました。