銀白虎
「おい」
聞き慣れた声がして、顔を上げれば、
「………蓮見くん。」
彼が立っていた。
「お前の時計は壊れてんのか?」
そういえば、とっくに約束の時間をすぎている。
「ご、ごめんなさい……」
きっとすごく、怒っているはずだ。
「すれ違った、アイツと」
「え?」
私がぼーっとしていた時間は、どれくらいだったのだろう。
もしかして…………
「どこから……聞いてたの?」
「わりと最初から」
それは、もしかしたら……私を試していたのではないだろうか?
私がどんな風に答えるのか。
秘密を言ってしまわないか。
「…………ごめんなさい」
ーーーーそれだったら、きっと、幻滅させてしまったに違いない。