銀白虎




「……なんで謝る?」


「ちゃんと否定できなかったから。蓮見くんの疑いを晴らすことが出来なかった……」



なぜ私は、あそこで固まってしまったのだろう。ちゃんと、蓮見くんだけでも、否定しなきゃいけなかったのに。



「疑いもなにも、事実だからな」


どうしよう、彼の正体が学校にバレてしまったらーーー。

今更になって、事の重大さに気づいて焦り始める。



どうしよう、

どうしたらいいんだろう。




「あたし、神崎くんに……!」


とりあえず、口止めをと思ったあたしを制した、蓮見くん。


「行かなくていい」

「でも、」

「あいつは大丈夫だ。気にしなくていい」



どうして?


しかし、困惑する私を置いて、来た道をスタスタと戻っていく蓮見くん。

それを慌てて、追いかける。



なんで、神崎くんは"大丈夫"なの?


そんな問いかけをしたくてたまらないのに、きっと今聞いても、答えてくれない気がする。











バタンッと、

車のドアが開いていた。



気づいたら、蓮見くんの家までついていた。


どうやらずっと、ぼーっとしていたみたいだ。



< 587 / 589 >

この作品をシェア

pagetop