銀白虎
「……なんで謝る?」
「ちゃんと否定できなかったから。蓮見くんの疑いを晴らすことが出来なかった……」
なぜ私は、あそこで固まってしまったのだろう。ちゃんと、蓮見くんだけでも、否定しなきゃいけなかったのに。
「疑いもなにも、事実だからな」
どうしよう、彼の正体が学校にバレてしまったらーーー。
今更になって、事の重大さに気づいて焦り始める。
どうしよう、
どうしたらいいんだろう。
「あたし、神崎くんに……!」
とりあえず、口止めをと思ったあたしを制した、蓮見くん。
「行かなくていい」
「でも、」
「あいつは大丈夫だ。気にしなくていい」
どうして?
しかし、困惑する私を置いて、来た道をスタスタと戻っていく蓮見くん。
それを慌てて、追いかける。
なんで、神崎くんは"大丈夫"なの?
そんな問いかけをしたくてたまらないのに、きっと今聞いても、答えてくれない気がする。
バタンッと、
車のドアが開いていた。
気づいたら、蓮見くんの家までついていた。
どうやらずっと、ぼーっとしていたみたいだ。