銀白虎
………たしかにそうだ。神崎くんは、そんな人じゃない。
そこを疑ってしまったことに、申し訳なさを感じた。
ーーーーだけど。
それよりもっと、痛かったのは、
蓮見くんに、それを言われたことだ。
「………………うん」
ーーーーけれど、それは。きっと、口にしちゃいけない。
私が受け止めるべき、痛みなのだろうから。
そんなあたしを見兼ねたのか、
蓮見くんの手が一瞬、こちらに伸びてきてーーー
ーーー…そのまま、あたしに届くことはなかった。
そして、何も言わずに家の中に入っていった。
………あたしはその時の彼の表情が、どんなだったのか、知らない。