銀白虎
「あんた、やばいよ?」
…多分、あたしはこの王子スマイルが苦手なのだと思う。
ガタッと音がしたかと思ったら、蓮見くんが椅子から立ち上がる。
そして、近付いてくる。
「…な、なな」
なによ!!
って言ってやりたいのに、動揺しすぎで呂律が上手く行かない。
しかも、おかしい。
金縛りにあったみたいに、
体が動かない。
元々、机二つ分しかなかった距離はあっという間に詰まり、
気付いたら蓮見くんの顔が、目の前に来ていた。
「あれ?逃げねぇんだ」
違っ…!って言ってやりたいのに、この顔の近さに尻込みしてしまった。
近っ…
顔がすぐ目の前にある。
ちょっとでも動いたら、触れそうなくらい。