銀白虎
安堵
呼吸をするのも、躊躇ってしまう…。
瞬きでさえも、躊躇う。
心臓が高速に脈打って。
危険なことは、さっきから悩があたしに知らせてくる。
だけどこんな時に、銀色のその髪が強くあたしの視界に入ってくる。
はっきりと近くで見たそれは、遠目よりも灰色に近い気がしたけれど…、やっぱり――…綺麗。
思わず手を伸ばしそうになる自分を、抑える。
触れてみたい。
その髪に……。
頬に、ひやりとした感触がした。
それで、はっと目が覚める。
バシッ!
気付いたら蓮見くんの手を、振り払っていて。
「痛てっ」
って、声が聞こえて、
完全に夢の中から目が覚めた。
慌てて蓮見くんを見たら、
手が少し赤くなっていた。
どうしよう…
あたしはオロオロしながら、蓮見くんの様子を見ていた。
「馬鹿力」
そう言って、あたしを見る。