銀白虎
神崎くんのだった。
「もしもし。…なんだよ?」
…しかも電話だったようだ。
しかも、電話の相手の声はかなり大きくて、神崎くんには申し訳ないが、ほとんど丸聞こえだった…。
―『翔!!あんた今どこにいるのよ!!』
―『部活はとっくに終わってるでしょうが!!いつまでほっつき歩いてるのさこのばか息子が!!』
……ほんとに会話を聞いているのが申し訳なくなって、聞かないようになるべく努力した。
…が、あたしの努力不足のせいで、
―『あと10分以内に帰ってこないと夕飯抜きだからね!!いい!?分かった!?…ブチッ。』
と、最後に聞こえてしまった。
「…ったくよー……」
溜め息を吐く神崎くん。
耳が痛いみたい。耳を引っ張ったり押したりしている。