銀白虎






「…そんな落ち込まなくてもさ、ねっ!魔女なんて美味しい役だよ?」



笑ってしまって申し訳ない…

すごく落ち込む神崎くんを目の前にし、今更後悔する。


しかし、あの顔はサイコーだった…。

あたしはその顔を思い出してしまい、バレないようにぶぶっ…と笑う。



「結城、バレてんぞ。」


ありゃ、バレてしまったか。


「…ご、ごめんね?」


えへっ。と笑ってごまかしてみた。


「もーいーよーだっ。どうせ俺はくじ運悪いですよ!魔女ですよー!」



…やばい。神崎くんの多少意味のわからないいじけっぷりが、たんまんなく可愛いぞ。

よしよし撫でたくなってきた。



「…いいよ!魔女やってやるし!どんとこいだっ!

『鏡よ鏡よ鏡さん。この世で1番美しいのはだぁれ?』」



神崎くんが声をかけて魔女の真似をする。


や、やばっ


「ぶっ!ダメ…似合いすぎっ!!」


あたしはあまりのなりきりぶりに、爆笑してしまった…。




< 92 / 589 >

この作品をシェア

pagetop