今年のクリスマスプレゼント、君。【短】
次の日
俺が教室に入るや否や
莉子が犬のように目を輝かせて、俺に近づいてきた
「庄司!
昨日のこと雄平に聞いてくれた?」
「あぁ。
うん」
机に鞄を置きに行くふりをして
俺は必死にいいわけを探していた
俺は彼女に対して何を言えばいいんだろうか
昨日雄平に言われたことは
今俺が言うべき言葉じゃない
「うそ!
雄平なんて言ってた?」
「あぁ。
何もないって普通に言ってたよ。
莉子の考え過ぎなんじゃない?」
「本当?
あたしの考え過ぎだったのかなぁ」
「絶対そうだよ。
だからお前は安心してマフラーでも編んでろ」
「うん」
あまりの笑顔に
心が痛んだ
俺は今この瞬間
莉子にとって最も残酷な嘘をついたんだ
この一週間後
彼女は雄平に別れを告げられる
その事実を知りながら
俺は彼女に最低な嘘をついた