今年のクリスマスプレゼント、君。【短】
「あたしもう会場入るね。
じゃぁまた後で・・・」
莉子の靴音が小さくなっていくにつれ
大きな大きな後悔が押し寄せてきた
今までずっと我慢してきたのに
莉子の一番の友達でいようって決めたのに
どうしてあんなこと・・・
その後重い足取りで会場に戻ると
パーティは大詰めを迎えているようで
あちらこちらで大きな笑い声が起こっていた
ふと隣のテーブルに目をやると
グループの群れの中にいる笑顔の莉子が見えて
無意識に胸の高鳴りを感じてしまう
どうしてこんなに好きなんだろう
どうしてこんなに諦められないんだろう
会場で大きな音がした途端
時計の針が00:00を指した
周りの友達が“メリークリスマス!”と騒ぐ中
俺は心の中でサンタクロースとやらに願い事をしたんだ
なぁサンタクロース
いるなら俺の願いを叶えてくれよ
あんなに欲しがってた新しいゲームも
いつも親にねだってもらってる小遣いも
全部全部我慢するから
だから篠崎莉子を
莉子の心を
俺に下さい
今思えば
最後の神頼み的な感じで
格好悪くてダサいけど
その時の俺は本気だったんだ
本気で
サンタクロースに
そう願ったんだよ