カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜後編
「ただいま。」

家に着く早々、自分の部屋へ閉じこもった。

正直…どうしていいのかわからない…


それが今の本音。


これが、ちゃんと恋人がいるなら迷わず産みたい。

そんな選択できたのかな?

それとも、まだ早いからやっぱり……?

どうしたらいいんだろ。

「入るわよ?」

小さなノックと共に、お母さんが顔を出してきた。

「体調まだ悪いの?」

心配そうに、近寄り暖かな手を、額に当ててきた。

「まだ少し熱ぽいわね。
お粥作るから、寝てなさい。」

優しい、優しいお母さん。

もし、私の中に赤ちゃんがいるって知ったら、なんて言うんだろ?

やっぱり、怒る…?

それとも、泣く…?


「なぁに?じっと顔見て。変な子ね」

呆れ気味に、私を布団の中へ寝かしつける。

「ねぇ…お母さん?」

「なぁに?」

「私産まれて…嬉しかった?」

「どうしたの?突然?
当たり前でしょ?やっと授かった子供だもん。
うれしいのに決まってるでしょ?」


嬉しかった…かぁ…

やっぱり…うれしぃよね。

「お母さん?ありがとう」

肩越しに振り返る母は、クスリと笑い静かにドアを閉めた。


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