カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜後編
幸か不幸にも…人気のない路上に、車が一台ひっそりと、止まっていた。

引き寄せられるように近付くと、車にはエンジンキーがついていて、静かに白い煙りを吐いていた。

周りをの様子を見渡しても、持ち主の来る気配がない。

バクバク跳ね上がる心臓。


一度だけ、一度だけ…

見つからなければ、大丈夫。


滑り込むように、ドアを開けギアーを「D」の位置へ動かし、逃げるようにアクセルを踏み込んだ。


大丈夫、見つからなければ。

何度も何度も、呪文の様に言い聞かせた。




「お待たせしました。」

再び俺は、盗んだ車で乗りつけ車を山崎へ引き渡したんだ。


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