就活魔女も夢を見る
「制服が着れなくなる? なに?太ったの?」


「新田智則、次言ったらぁベッドの下に火をつけるからねぇ」


「すいませんでした」


「じつはぁ、あのファミレス、つぶれちゃうらしいんだぁ」


アカネは僕の肩越しに窓の外を見ていた。


ファミレスは、窓から見えるほど近い場所にある。


「あれ? でもけっこう忙しいって言ってたよね?」


「うん。だけどぉ、この前100万円事件っていうのがあったんだぁ」


「100万円事件?」


「そぅ。お会計が100万円だったのにぃ、間違えて100円しかもらわなかったんだってぇ」


「斬新な間違え方だね」間違えたのはアカネじゃないかな、と思ったけど、あえてふれないことにした。「その人はクビにならなかったの?」


「店長がー、かわいいから許すってぇ」


あー、間違えなくアカネでした。


「でも、それくらいじゃ店潰れないだろ」


「店長がー、間違えてお店の売り上げを女の子に注ぎ込んじゃったんだってぇ」


「斬新な潰れ方だね」
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