就活魔女も夢を見る
「それで、これからどうする? ファミレスが潰れちゃうんなら、なにか別のこと考えなくちゃ」


と僕は言った。


「バイトを勧めてきたのは新田智則なんだからぁ、次なにすればいいのか考えてよぉ」


「なんでそんな人任せなんだよ。アカネの就職活動でしょ?」


「そうだけどぉ」


アカネが頬をぷぅと膨らませた。


他の人がやったらイラっときそうな仕種だったけど、アカネがやるとこちらの頬が緩んでしまう。


僕は迷っていた。


アカネの就職活動を成功させてあげたいという気持ちは当然ある。


だけど、なにかヒントを見つけてしまったら、アカネは魔法つ界に帰ってしまうんだと思うと、心が揺らいだ。


僕にとってアカネは、日に日に大きな存在になりつつある。


「新田智則、あたしこれからどうすればいいのかなぁ。なんかぁ、自分がなんなのかよくわかんなくなってきちゃったぁ」


アカネは魔法で部屋にあるものの色をポンポン変えた。


その色は彼女の心の中を映すかのように、すべて暗い色だった。
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