~KissHug~
ワクワクしながら近寄っていくと
千鶴が後から追いかけてきて
素良の腰にからみついた。

足が止まった。

千鶴が素良に甘えていて
素良は、千鶴を優しく包んでいた。
ふたりが絡まって歩く様子を呆然と見つめた。


その時、素良と目が合った。


でも素良から
自然に視界をうつされた。

  私だってわからないよ


通り過ぎていく二人
心が痛くなった。


素良の帽子を奪って
かぶる千鶴

耳元でささやく千鶴



  私は千鶴にはなれない


どんなにきれいに塗っても
千鶴と同じスタートラインに立てるわけない


すっぴんだったら
すぐ泣くのに
化粧を気にして涙をのんだ。


化粧してるほうが
強くなれるかも・・・


そう思いながら
心は深く深く地の果てへ・・・・



今日は強く過ごそう。



  ケーキどうしよう


足は自然に芳樹のバイト先に向かっていた。
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