~KissHug~
利用しているのはわかっている

素良に会えなかったから
芳樹のところにいく
そんな自分が本当に嫌な女だと思う。

でもどうしても
心が寂しさを埋めてほしいと泣く


スーパーに入っていく。

「いらっしゃいませ~」
レジの女性が笑顔で挨拶をした。

私は、初めて入る
そのスーパーで芳樹を探す。

ジュースのコーナーで商品を並べる芳樹を
見つけて、その背中を見つめた。
黙々と仕事をしている背中が
素敵だった。
時折、通り過ぎるお客に
「いらっしゃいませ!!」と声をかける。

生き生きして働いていた。

「よっち、そろそろ休憩入れよ」
声がかかった。

「はい!ここ終わったら!!」

私は静かに近寄った。

「いらっしゃいませ!!」
芳樹が顔をあげた。

視線を戻し

また、顔を上げた。


「あれ?ぷーちゃん・・・?」


芳樹が立ちあがった。

「わかった?」

「わ…びっくりした。
どうしたの?その顔…」

仕事を続けながら言った。


「ん…昨日千鶴さんに言われて…
ちょっと冒険したの。
芳樹に見てもらおうかなと思って。」

   うそつき

「まじー?ちょっと待って!
休憩なんだ。一度家に帰ってメシ食ってくるから
一緒に行こう。」


私は、ジュースを2本買った。


外で芳樹を待っていた。

   罪悪感

しばらくして芳樹が走ってきた。

私の手を掴んで
無言で家まで走った。


「芳樹~走るのなんで?」
息が切れる。

「いいから、早く、早く~」

階段を駆け上がり
玄関のドアをバタンと閉めた。

私は息が切れて死にそうになった。

「もうダメ…」
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