~KissHug~
しばらくして芳樹が帰ってきた。

「おかえり、おかあさんのこと聞いた?」


「うん…電話きたんだって?」
ソファーに座り込んだ。

「ね、早く行かないと。」

「うん。」
そう言いながら腰をあげない。


「芳樹?どうしたの?」

「…………………だ。」


「ん?どうしたの?」

「怖いんだ……」



「かあさん、とうとう死ぬんだ。」

「まだ、わからないよ…」

「俺ひとりになるんだ、本当にさ…」


芳樹は頭を抱えた。

私は芳樹を抱きしめた。


「大丈夫よ…芳樹…」


芳樹は、震えていた。


「大丈夫よ、一緒に行ってあげるから。」


「大丈夫だから」

震える芳樹をしっかり抱きしめた。
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