~KissHug~
リセットするための努力は
涙ぐましかった。
家族が
「今のままの歩来でいいじゃない」
そんな嬉しい声にも動じず
必死なダイエットのおかげで
10キロ近く減量に成功した。
ただ、イメージ通りにいかないのは
コンタクトが
どう頑張ってもいれられなかった。
大事なところなのに
生理的に受け付けない
撃沈してあきらめた。
流行りのメガネにかえて
緊急に対処したけれど
私の予定を
大幅に狂わせた。
クラスは 1-A
最初が肝心
廊下に張り出された座席表は
窓側の一番後ろ
また、めだたない席に
なんだか、いやな予感
大きく息を吸って
教室に足を踏み入れた瞬間
後から思いっきり押された。
その瞬間私は、おもいっきり転倒しながら
新しい教室に派手に転がった。
一瞬静まり返る教室
恐る恐る目線をあげると
みんな笑いをこらえている。
「ごめ~ん!!大丈夫~?
だって、芳樹が押すから~!!」
私の顔を覗き込んだ
女は
巻き髪ゆるゆるパーマに
ライトブラウンの柔らかそうな髪の毛
おめめパッチリ
軽くメークをした
モデルのような女だった。
この~ぉぉぉ…
怒りの燃えた私だったが、あまりの恥ずかしさに
「大丈夫」小さくつぶやいて
伏し目がちに、自分の席に急いだ。
席に着こうとした時
カバンが邪魔で、顔をあげた。
通路はさんで隣にすわってる男子と目が合った。
どき~ん!!
今まで感じたことのない
胸の高鳴りだった。
いたっ…
痛いくらいの衝撃が
一目惚れ を教えてくれた。
産まれてはじめての感覚
私のつらくて、切ない 片想いが はじまった。
どこか冷やかなその男子は
龍崎 素良
りゅうざき そら
私の心をかき乱す
愛しい悪魔になった。