~KissHug~
クリスマスを一週間後に
ひかえた日の午前授業の
帰り道のことだった。


「ねえちゃ~ん!!」

いつものように
芳樹と帰る道、弟の声がした。


振り向くと団体で
小学生が歩いている。

「今日、現地学習って言ってたわ。」

「弟!?」
芳樹が目を輝かせた。

「松本くんのお姉さんですか?」
担任らしき先生に声をかけられて
私は後の先生のところに
走って行った。


「今日、松本君お腹が痛いと
言ってましたので、家に帰ったら
おかあさんに伝えてもらえます?」

そんな話だった・・・・


芳樹は団体に交って
弟と一緒に歩いて行く。

「芳樹~」
声をかけた。

「芳樹~だって~ヒューヒュー」
弟がからかったから
みんなが冷やかした。


「うち帰ったらげんこつよ。」

先生に頭を下げて
弟団体から離れた。


「何話してたの?」

「いや~かわいいな~
俺の妹だった子もあれくらいになってるんだな」

愛おしそうに空を見上げた。

「そういう顔好きよ。
優しくて~」


「まじ?じゃもっとする~」

そう言ってふざけて
抱き寄せた。

弟が「かあさんに言うぞ~!!」と
大声で叫んだ。


その一瞬の短い出来事が
私と芳樹の間に
暗い影を投げかける・・・・・・
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