~KissHug~
恥ずかしいという
行動さえも悪寒はさせてくれない

そのまま私を抱き抱えて
浴槽に二人でつかった。

背中に感じる芳樹の温かさに
声を出して泣いた。

  昨日はごめんなさい
  芳樹を裏切ってる
  こんなに愛されてるのに
  芳樹を愛してるのに
  素良を求めている

胸にまわされた芳樹の手を
力一杯にぎった。

さっきの出来事も重なり
バカみたいに
泣くしかできなかった。


体が温まってくると
心がポカポカしてきて
私はおおきなため息と一緒に
落ち着いてきた。


「ごめんな。俺のために…」

  罰があたったの
  ふらふらしてるから

「いいの。だから千鶴さんたちを
怒らないで・・・
私もかなり暴れたから・・・・
でも私って欠陥人間なんだね・・・」

「なんで?」

芳樹が優しく髪を撫ぜた。

「誰も私を見てくれない。
もう入学して一年近くなるけど
友達って…いないから…
人間的にそうなのかなって
自分が情けない・・・・」

「歩来の悪いとこは
学校では、自分から事を起こせないこと
もっと積極的に話しかけてみな?
話しづらいんだと思うぞ。
でもみんなが歩来のよさを
しったらさ、
もてて大変だから~」


「もてないよ。
こんな優柔不断のサイテー女。」

そう言ってドキンとした。


「優柔不断って素良のこと?」

「それだけでもないけど……」

「俺はあいつが留学して
くれることになって
悪いけど、すごく落ち着いた。」

  もうこれ以上は素良の話はできない


「芳樹…のぼせた~」

「お!!俺も茹であがるとこ。
おいで。」
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