~KissHug~
そろそろ素良がかえってくるはずだ。
弁当を買いに行くと
歩来に言って
ちび子のとこに電話をかけた。


瞳さんが出た。
「素良はもう帰りましたか?」

「泊まってもらおうと思ったのに
麻衣が熱出して
素良くん気をつかって帰っちゃったわ。
もうすぐ帰ると思うけど
なにかあったの?」


「あ…いやカギ持ってるかなと思って
あいつの携帯わかんなくて
あ、でもいいです。
もうすぐ帰るんなら。
麻衣お大事にしてください。」


電話を切った。
俺の悪魔が手を広げた。

  来い素良
  おまえに いい声でなく歩来を
  聞かせてあげるから



弁当を受け取って店を出ようとしたら
雪がゆっくり舞っていた。
ふとその前を人影が通った。


白い雪に浮かぶ
青紫のマフラー


  あいつマフラーなんかする奴だったか

歩来の弟の言葉を思い出した。


歩来が編んでるのは
俺のマフラーだ


素良のマフラーじゃない


素良は何度もマフラーを巻きなおした。
その姿を見ながら
心が凍りついた       
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