ロスト・ラヴ
プロローグ
波が静かに‥
まるであの日を懐かしむかのように、あの日の彼女と記憶を、連れてくる。
『‥もうダメなの?』
強がりで負けず嫌いで、絶対に弱音なんか吐かない‥そんな彼女が初めて目の前で涙を流した。
『やだ‥‥いゃ…一人に‥しないで‥‥っ』
肩にしがみ着きながら彼女は泣き続けた
一人にしないで、行かないで‥と、何回も何回も呟きながら。
『‥なんで…‥なんで何も話してくれないの‥?』
俺はそう訴える彼女に何も言えずに目を反らした
『‥‥も‥会えないの……‥?』
辛くて‥悔しくて唇を強く噛んだ
俺は目の前の大切な人、一人も幸せに出来なかった。
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