ロスト・ラヴ


肩に置かれた手がカタカタと震えていて、俺は彼女をどうしようもなかった

抱き締めることも出来ない
頭を撫でてやることも出来ない

もししてしまったら、もう離れられない気がするから。


『愛してる』と心の中で呟き、彼女を自分から放した

彼女は驚いたような‥そして悲し気な瞳をして、こう言った。


『‥忘れてね‥忘れていいから…‥前に進むから‥だからサヨナラは言わない』

“サヨナラと言ったらまた会うみたいで忘れ られないから”と。


だから‥‥サヨナラの代わりに最後のキスをした


『…バカ‥‥』


スッと目の前の愛しい人は消えてしまって、もう掴めない


俺は彼女に何か…してあげられた?




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