ロスト・ラヴ
「いい男紹介しよっか?」
ズラリと並んだ携帯の電話帳を私の前に出すと、意地悪く笑った。
「結構ですー。私は圭ちゃん一筋だもん」
カナはつまならそうに携帯を閉じた。
「そう言うと思った」
「‥でも‥‥‥」
圭ちゃんはどうなのかな?
今でも私のこと好きでいてくれてるのかな?
度々不安になる。
今こうして私がカナに言われたように圭ちゃんも言われているかもしれない。
私は断ったけれど、圭ちゃんは‥どうなのだろう。
「まっ、気にしなくてもあんたらは大丈夫だわ」
「うん‥」
「‥‥‥もうすぐクリスマスだし、圭斗君から誘ってくれるでしょ。心配しなくてもっ」
「クリスマスか」
喫茶店のガラスの向こうに見える街の景色はクリスマス一色だ。
クリスマスまであと一週間。
「楽しみにしてみる」
そして私達の付き合った日までも、あと一週間。
私は期待に胸を膨らませながらクリスマスを心待ちにする。