ロスト・ラヴ
中に入ると、昼間でもやはり居酒屋。
ガヤガヤと賑わってお酒の匂いに料理の匂いもほんのりと香っている。
「何名様でしょうか?」
店のエプロンを腰にまいた店員が前を歩くカナに問いかける。
「あっもう先に連れが来てると思いますぅ。“田中”って人と四人来てるはずなんですけど」
「少々お待ち下さい」
店員は小走りで店の奥の方へと向かって行った。
「ね、カナ‥私やっぱり…「お待たせ致しました!」
やめたい、そう言いかけた時にタイミング良く店員が戻って来た。
「お席までご案内します」
店員はにこやかに席までの道を歩いて行く
「…………」
「よっし!行きますかぁ!‥どしたの弥生?」
その場で立ち尽くす私にカナは心配そうに話しかける。
「なんでもないっ」
笑顔で答え、先を行く店員の後を追う。
こうなったら意地でも乗り切ってやろうじゃないの!!
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