JEWEL
「それじゃ、お疲れ様っす」
9時を過ぎ
後継ぎをするやつらが来たとこで
俺は着替えてみんなに一礼すると店を出た。
さすがに、
12時間労働はキツかったな…
まぁ、食事もしながらだし
客は結局あの女だけだったんだけど。
そんなことを思いながら
大きく伸びをする。
家に帰ったら風呂入って寝るか。
次のバイトはあさってだし
冬休みの今は大学もない。
…暇人っていいな。
なんて呑気に考えていたときだった。
「斎さぁあん!!」
ふいに呼ばれた名前に
思いきり体がビクつく。
恐る恐る声がした方を見れば
見覚えのある制服に身をつつむ
長いキャラメルブラウンの髪をなびかせた女が
俺に向かって走ってきていた。
…まさか。
そんな俺の予感は的中。
目の前まで走って来た女は
昨日のサンタ女だった。