JEWEL





「駅の近くだけど?」


そんな隆也に不機嫌を保ったまま答えると


「は!?

お前まじでバイトいくの!?

クリスマスだぞ!?」


こいつまで、クリスマスとかなんとか言いだした。


「クリスマスだからなんだよ?

今日は時給高いから絶対行く。」


「そりゃ時給高いだろーけど…

斎と遊びたいって奴

いっぱいいんだぞ?」


…そうやって俺を誘っても

効果がないってことに

こいつはいつになったら気付くんだ。


「俺はバイトに行きて―の。

話しそんだけなら切るわ。」


「あっ!

お、ちょいまっ…!」


隆也が何か言いかけたが

俺は気にせず電話を切った。


ついでに電源も切った。





真っ黒になったケータイの画面を眺めてると

画面に落ちた白いもの。


「…雪か」


空を見上げると、ハラハラと粉雪が降っていた。


…どーりで寒いわけだ。


俺は緩く巻いていたマフラーをきつく巻き直し

バイト先まで足早に歩く。





………今日は、クリスマス・イヴ。



俺が1年で1番、嫌いな日。



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