JEWEL
「…さみーなぁ」
久々に昔を思いだして
なんだか浸ってしまった。
無邪気だった少年に
その現実は、あまりに悲痛なもので
俺がこんな冷めた人間になったのも
仕方ねぇんだよ。
俺は、両親が好きだったんだ。
大好きだったんだ。
だから、この現実が
俺に深すぎる傷を負わせた。
今でも痛くて、痛くて、
仕方ない。
情けねぇとは思うが、もう、嫌なんだよ。
傷つくのが嫌だ。
裏切られるのが嫌だ。
だから俺は決めたんだ。
もう誰も信じないって。
信じなければ
裏切られたって傷付かね―し。
これ以上、傷が深くなることもねぇ。
………怖いんだよ。
またあの痛みを味わうことが。
本当に
本当に
もう、嫌なんだよ…。