(株)フリークス
戦慄、走、纏う
10分ほどそうしていただろうか。その間頭の中は真っ白で、何かを考えようとしてもうまくまとまらなかった。
ようやく心臓の鼓動も落ち着き、自分がほぼ裸な事に気付くと、急に寒さと気だるさが全身を包んだ。
「服、着なきゃ…。」
ヨロヨロと立ち上がり、モゾモゾと着替えていると、鞄を彼の家に忘れていた事に気付く。
あの中には明日仕事で使う書類が入っている。
「どうしたもんかね…」
呟きながらベルトを締めていると、街灯の明かりが何かに遮られた。
「?」
不思議に思い、視線をベルトから上げていく。
時間するとコンマ数秒間。
父や母の顔。
飼っていた犬。
よく遊んだ神社の境内。
大学時代の恋人との濃密なセックス。
吉牛のオレンジの看板。
今朝見た動物の轢死体は猫だったか?
先週見に行ったライブの感動。
コンビニのおでんを寒い部屋で1人つついたさみしさ。
そんなものたちが刹那に訪れては消えた。
「あ」
そこには
彼が。
いた気がした。
反射的に目を閉じ、さっき頭をよぎったのはアレか?などと考えた。
ということは、俺はもうアレしちゃうんだなぁ。
ふと、本当にふと、何故だか笑いが込み上げ、次第に大きくなり、やがて爆笑に変わった。
泣き笑いしながら薄目を開けると、やっぱりいた。
再び爆笑。
やがて嗚咽を含んだひきつった笑いになり、
しまいにはシクシク泣いていた。
瞬間、胸にひんやりした何かが押し付けられた。
ビクッとして硬直し、
涙でグショグショになった顔をひきつらせたまま目をあけると、
既に服を着た彼が僕の鞄を突っ返そうと押し付けていた。
「忘れ物よ」
よく事態が呑み込めず、何かを言おうと口をパクパクさせていると。
「じゃ、また明日。」
そう言って彼は行ってしまった。
ようやく心臓の鼓動も落ち着き、自分がほぼ裸な事に気付くと、急に寒さと気だるさが全身を包んだ。
「服、着なきゃ…。」
ヨロヨロと立ち上がり、モゾモゾと着替えていると、鞄を彼の家に忘れていた事に気付く。
あの中には明日仕事で使う書類が入っている。
「どうしたもんかね…」
呟きながらベルトを締めていると、街灯の明かりが何かに遮られた。
「?」
不思議に思い、視線をベルトから上げていく。
時間するとコンマ数秒間。
父や母の顔。
飼っていた犬。
よく遊んだ神社の境内。
大学時代の恋人との濃密なセックス。
吉牛のオレンジの看板。
今朝見た動物の轢死体は猫だったか?
先週見に行ったライブの感動。
コンビニのおでんを寒い部屋で1人つついたさみしさ。
そんなものたちが刹那に訪れては消えた。
「あ」
そこには
彼が。
いた気がした。
反射的に目を閉じ、さっき頭をよぎったのはアレか?などと考えた。
ということは、俺はもうアレしちゃうんだなぁ。
ふと、本当にふと、何故だか笑いが込み上げ、次第に大きくなり、やがて爆笑に変わった。
泣き笑いしながら薄目を開けると、やっぱりいた。
再び爆笑。
やがて嗚咽を含んだひきつった笑いになり、
しまいにはシクシク泣いていた。
瞬間、胸にひんやりした何かが押し付けられた。
ビクッとして硬直し、
涙でグショグショになった顔をひきつらせたまま目をあけると、
既に服を着た彼が僕の鞄を突っ返そうと押し付けていた。
「忘れ物よ」
よく事態が呑み込めず、何かを言おうと口をパクパクさせていると。
「じゃ、また明日。」
そう言って彼は行ってしまった。