愛される星

いつだって不安だった。凌の瞳の中に、私じゃない誰かがいたような気がしていた。


その相手はきっと……


「そういう事か… 私はその人の影か…」


「違うよ椎菜!」


凌はきっと、今までの男と一緒だけど、初めて愛せた人だから。こんな状況を許すか許さないかより、幸せの在りかを探せばいい。


私は話しを聞かず、その場所から逃げるように立ち去った。


林檎は砕けたまま。


薄暗くなった空からは、濁った雨が滴り始めていた。



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