愛される星

この街にいたら、私はどんどん醜くくなってしまう。花盛りの女よ、いつまでも美しく咲き続けたいもの。


一応、お父ちゃんとお母ちゃんにだけは、行き先を告げた。


その昔、お父ちゃんとお母ちゃんが出会った海辺の街。ここで彼らは恋に堕ちたと聞いた。一度だけ小さい頃に連れてきてもらった事がある。透き通る海は青く、風は緩やかに吹く。夜空には一点の濁りもなく、この街には時間の流れを忘れさせる何かがあった。


あたりの人もみんな優しくて明るかった。笑顔に溢れた街で、自然と笑顔になってしまうまでそう時間はかからなかった。


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