愛される星

故郷へ向かう電車の中で、希幸ははしゃいでいた。乗ってからもう2時間、同じ景色が続いたけれど、駅に着いてバスに乗り換えて、希幸は疲れたみたいで私の膝で眠り始めた。


希幸は自分の父親の存在を知らない。聞いたりもしなかった。淋しいだろう。まわりの子供達をどんなに羨んだ事だろう。


そして、その父親もきっと知らないだろう。この子の存在を……


みんな今頃何してるのかな。のんきは元気にしてたのかな。


ママも、バンドのみんなも客も、友達もみんな。


元気にしてたかな。




< 150 / 195 >

この作品をシェア

pagetop