愛される星

「野乃華ちゃん…随分やつれたね」


そう言われ、少しムッときた。

「石垣さんは全然平気そうね。しぃちゃんがいなくなったのに、辛いって顔すらしてない!」


「おい、野乃華、やめろよ。そんな言い方…」


勇輔に止められて、自分が石垣さんに対して八つ当たりをしている事に気付いた。


「ごめん…」


「いいんだ。これでも一応、心配でたまらないんだけどね。いつ椎菜が帰ってきてもいいように、僕はいつも通りにしていようと思って。椎菜は凄く心配性だから、やつれた僕なんか見たら堪えられないだろうから…」


それは石垣さんの、精一杯の取り繕いの笑顔だった。



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